日本の新幹線がインドを変える
インド・ビジネス・センター社長 島田卓
2016年01月19日 16時40分
中国経済の減速傾向が明らかになる一方で、インド経済の好調さが際立っている。世界銀行が1月6日に公表した「世界経済見通し」によると、インドの経済成長率は2015年の7.3%から16年には7.8%に拡大する見通しだ。中国は15年6.9%、16年6.7%と見込まれており、明暗が分かれた。安倍政権もインドに目を向けている。昨年12月の日印首脳会談でインドの高速鉄道に新幹線方式が採用されることが決まった。12.5億の人口を抱え、可能性を秘めながら発展ディ首相のもとで急速に変わっている。インドに新幹線が走る。インドの未来に日本が果たす役割について、「インド・ビジネス・センター」社長の島田卓氏に寄稿してもらった。
もはや夢物語ではないインドの新幹線
20××年、私のインド出張はきっとこんな具合に始まるだろう。成田より空路ムンバイに夕刻着き、その足で新設された新幹線のプラットフォームに急ぐ。運良く午後7時半発グジャラート州最大都市アーメダバード行きに間に合った。アーメダバードまでなら約500キロ、2時間程度の乗車時間だ。従来の電車なら優に8時間はかかっていた距離だから、当日の移動はまず困難で、翌朝の空路か夜行列車を利用するのが一般的だった。
一度でもインドに行ったことがある人なら、こんなのは夢物語だと言うかもしれない。だが、これはモディ首相が在任中に起こり得ることなのだ。ただし、2019年の総選挙でインド人民党(BJP)が勝ってモディ首相が再選され、彼が目指すインドの変革が進み、諸問題が徐々に解決されていく、という条件付きにはなるが。
吉か凶か、増え続ける人口
COP21が開かれたパリで会談したインドのモディ首相(左)と安倍首相(代表撮影)
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インドではどこから始めても全方位的問題にぶち当たる。そういった問題ひとつひとつに解を与えていくことがどれほどの困難さを伴うものかは、筆舌に尽くしがたい。通り一遍の改革などでは済まないことから、モディ首相は“Transform”という言葉を用いている。すなわち、インド社会を根底から変えるつもりなのだ。
インドの現状を理解するために、とりあえず人口動態から入ると分かりやすいだろう。生産年齢(15~64歳)人口の増加に伴う経済的恩恵を「人口ボーナス」、その逆を「人口オーナス(重荷、負荷)」という。中国はすでに「人口オーナス期」に入っているが、インドはあと30年くらい「人口ボーナス」を享受できるという。
国連推計では、世界第2位の人口大国インドの生産年齢人口は10年から40年までの期間に約3億2000万人増加し、総人口に占めるその割合は40年前後まで上昇が続くとされている。それなら、経済が減速する中国に代わってインドが世界経済を牽引けんいんする強力な成長エンジンになれるかというと、事はそう単純ではない。
増大する若者人口、そのうち過半の者が十分な初等教育も受けることなく生産年齢人口に組み込まれていく。その若者たちへの雇用は創出できるのか。できなかった場合には今の「人口ボーナス」が、巷ちまたに失業者があふれる「人口悪夢」に変わる。元インド中銀総裁のY.V.レディ氏が発した警鐘だ。それに対するモディ首相の回答が「Make in India」であり、「Skill India」となる。外資を呼び込み、インドの産業拡大を推進、そのために必要となる技術者を養成するというものだ。
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